芦花公園の住宅|House in Roka-koen

柱と梁の間に、建具や壁が嵌められた形式を柱間装置と呼ぶ。柱梁のフレームの間に、障子や襖、御簾(みす)や蔀戸(しとみど)など多種多様な建具をあてがうことで、周辺環境や部屋同士の関係性を調整する。日本建築の特質である外部環境との連続性や空間の可変性は、柱間装置によって生み出されてきたとも言える。注目したいのは、近代以降、木造ではなくRC造の団地等のインテリアにおいても柱間装置が採用されてきたことだ。形骸化されながらもインテリアに用いられてきたのは、柱間装置がうみだす場所性が日本人にとって拠り所となってきたからだろう。そうしたことから、柱間装置は団地における重要な形式と読み取ることができる。
この建物は、築44年の分譲化された団地である。約50㎡・3DKの間取りの住戸で、一般的な団地同様に柱間装置による襖や壁で仕切られていた。しかしプランニングの問題からか、柱間装置を用いた日本建築がつくりだす連続性や可変性は感じられない状態だった。これは既存の形式がうまく機能していないためであり、それをただ切り捨てて新たな形式を用いるのではなく、あるエレメントの導入によって現在的なものに更新できるのではないか。それによって、素材は一新されながらも懐かしさや記憶を受け継いだ、あったかもしれない風景を顕在化できるのではないかと考えた。
新たに導入するエレメントとして、布框戸(ぬのかまちど)という建具を製作した。これは障子のような透過性と襖のような軽やかさを併せ持っている、障子と襖の間の閾となる建具である。框の間に好きな布を張ったり、寒冷紗を張り網戸にしたり、自らカスタマイズできる仕様になっている。既製の障子や襖の枠は、溝7分(21mm)・溝同士の間は3~5分(9~15mm)と規格化されている。この規格に合わせてを製作し、さらに製品化することになっている。団地に柱間装置が採用されている慣習を活かして、布框戸が様々な団地改修で汎用されるツールとなり、団地というビルディングタイプを更新するエレメントの一つになることを目指している。


Credit
設計|Camp Design inc./ 藤田雄介
施工|河行工務店
写真|長谷川健太

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