Category: 未分類
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橋と軸組と|Bridge and frameworks and
Text クライアントが以前から家族で暮らしていた築40年程の木造軸組工法の家を、子供たちが独立したタイミングで、今後の住まいとして更新した計画である。この家は横浜の郊外住宅地にあり、ハウスメーカーによる開発と異なる、地場の工務店がつくった建売が並んでいるエリアだ。丘陵地帯を造成した家々が段上に建ちならぶ、横浜らしい風景が広がっている。 木造軸組工法は、1間=約1820mmのモジュールによる設計の知識がない人にも分かりやすく、設計の自由度が高い工法として長らく用いられてきたし、改修においても柔軟に更新できる利点がある。しかし、その柔軟さが場合によっては、課題となることもある。既存建物は延床面積に対して部屋数が多く、リビングダイニングも寝室と同じような広さだった。部屋数をなるべく多くすることが重視されたようだが、これは設計時の構成や理念がなく軸組工法の柔軟さが生んだ状況だろう。こうした軸組工法の柔軟であるが故の、住環境としてのとりとめのなさに対して、新たな骨格が必要ではないかと感じた。 今回の要望としては、断熱気密などの環境性能を向上し風通しのいい家になることだった。また4人から2人の住まいに変わるため、部屋数も少なくて済むことになる。そこで、南北をつらぬくフィーレンデールの鉄骨フレームを貫入し、既存軸組と緊結させた。これが耐震要素となり水平的・断面的な抜けをもたらし、既存のとりとめのないプランに軸となる骨格をつくりだした。私はこのフレームを〈橋〉と見立てた。夫婦がそれぞれの時間を共有する場所になり、段上の敷地周辺との高低差により物見台にもなる。庭を挟んで高い擁壁があるダイニングには、ルーバーを通して光を落とす。フレーム上部はロフトとなり、限られた面積の中に床を加えている。貫入した〈橋〉が、住み手や環境要素や周辺環境などを文字通り架橋していく。 しかし同時に〈橋〉が家のなかで支配的な存在になりすぎないように、さまざまな建具やマテリアルや色を散りばめている。玄関と主室の外部建具には、飛騨高山の広葉樹による耳付き框戸を製作した。その他、我々が製品化している木製建具をカスタムしたものを設置している。仕上げのマテリアルや色は、錆止め塗装を踏襲した〈橋〉とのバランスから決めていった。 この計画は4号特例が廃止になる以前に着工したが、木造軸組工法の住宅に〈橋〉を貫入させる手法は、主要構造部を全面的に更新せずとも実現可能だろう。そのため本計画を、木造軸組工法の住宅のリノベーションにおける、汎用的手法の一つとして提示している。 Credit 設計|Camp Design inc. / 藤田雄介 基本・実施設計協力:長谷川敦大 構造|yasuhirokaneda STRUCTURE / 金田泰裕・青山健太 施工|工匠 / 貴田康平・前田眞之介 写真|辻優史 設計期間|2023年12月〜2024年10月 施工期間|2024年11月〜2025年8月 建物規模|木造軸組工法 地上2階建て 敷地面積|100.05㎡ 延床面積|79.73㎡(1階 44.185㎡、2階 35.548㎡) Drawing
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K Church Project
Ongoing
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建具の手がかり -境界を操作する39の手法
弊社代表・藤田による単著が発売されました。 建具は空間を仕切りながら、つなぐものでもある。自らの設計の軸に建具を活かし、建具メーカーも運営する著者が、近代建築の巨匠から気鋭の若手までの26作と、著者自身による13作を充実の図面・写真とともに紐解く。距離、構え、環境、ディテール、再利用の5つの観点から、境界と空間を操作する建具の可能性を見出す一冊。 発行|学芸出版社 著者|藤田雄介 体裁|B5変判・188頁(オールカラー) 装丁|飯田将平+佐々木晴(ido) ISBN|9784761529048 GCODE|2332 下記サイトでご購入いただけます。 戸戸(特別セットで販売中) 出版社サイト Amazon この他、全国書店で発売中です。
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ジャジャハウス|Jia Jia House|加加好肆
井と戸のかたち ここに住むのは4人家族と、血縁のない2人の共同生活者である。建主夫婦以外の4人も成人で、大人6人が共同生活する場となる。建築史家、翻訳家、建築家、美術家、メディア論を学ぶ大学生、美大生、それぞれが個性をもち、共同研究者、友人、地域の人びと、学生たちを巻き込んでさまざまな活動がこの家で展開するだろう。敷地は多摩丘陵にある学園都市の住宅地の一角にある。道路からは約4mの落差がある平場との間には、一部地山が残る斜面庭が横たわっている。約1世紀の時を経た自然の厚みを感じる場所である。 この家の活動は、2階の会所や厨房を中心におこなわれる。会所は既存庭そして道に面して並行にとり、L字に連続させるように厨房を配置した。そして、中央に階段書庫を設ける必要性からナインスクエアの構成が現れた。このエリアでは複数の活動が共存できるように、建具により領域を可変できる構成が求められた。そこでわれわれは、建具と架構の関係から問いなおすことにした。ナインスクエアグリッドの交点に立つはずの105mm角の柱を、鴨居を兼ねた梁を挟む75mm角の4本の束ね柱に変換した。そして幅1,650 mmの大判建具が、柱間に納まることなく縦横無尽に動く。従来であれば建具は柱間を往復するだけだが、ここでは柱間つまり架構がかたちを変えることで、建具がグリッド間を横断できるようになり可動域を広げている。 ブリッジを介したアプローチにより、2階床レベルは自ずと決まり、1階の階高は1.5階分の高さになった(間の層はロフト階として1階各室の面積を確保している)。2階中央の本に満たされた階段室から下階に降りる様は、まるで本の地層に潜り込んでいくかのようだ。その先には庭に開けたリビングが現れる。東からの光が、天井いっぱい並ぶ背表紙を照らす。2階はほぼ1室空間であるが、1階は個室群に分節した構成をとっている。4つの室は、成人になった子供たちと共同生活者らが使うが、今後住み手が移りかわる可能性が高い流動的な場である。 竣工後に、井戸というメタファーが浮かびあがった。上階からアプローチして下階にくだる様だけでなく、井はナインスクエアの梁型を想起させる字形であり、戸は建具と読み替えられる。井戸端会議ではないが、上階は早くも近隣の人びとが集う場所になりつつある。そして、これから下階の若い住み手たちによって、上階の活動が湧きたっていくだろう。振り返ってみるとわれわれは、この層状の地形に感化されて、井戸を建築として建ちあげようとしていたのかもしれない。 Credit設計|Camp Design inc. / 藤田雄介・伊藤茉莉子・寺澤宏亮 +青井哲人+青井亭菲構造|円酒構造設計 / 円酒昇・西江太成環境計画アドバイス|川島範久施工|水雅 / 三浦尚平・伊藤京子・浦野洋平(棟梁)写真|新建築社 Award日本建築学会作品選集SDレビュー 2022 入選 Media新建築住宅特集 2023年7月号>>日経アーキテクチュア 2023年7月27日号>>SD 2022>>ディテール 2024年7月号>>コンフォルト 2024年10月号>>
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公園上の家|House on the park
都心部の広い公園に面した場所に建つ、集合住宅の一室の改修である。既存建物自体は少し古く、団地に近い建物だった。この場所の特徴である、眼下に広がる公園や都市の風景を庭のように取り込みながら、小さな居場所の連なりをいかにしてつくれるかを考えた。 クライアントは若い夫婦で、60㎡程のスペースの中にキッチン・ダイニング・ソファースペースのあるリビング・寝室・それぞれのワークスペースを設けたいという要望があった。また、台形の間取りの中央に梁せい600近い大梁が通っているため、部屋が分断されていた。そのため、大梁を軸に左右にスペースを設けて、南面側にはキッチン・ダイニングやリビングを、東面側には寝室・それぞれのワークスペースを設けることにした。 加えて、公園に面していることの開放感を感じられるように、収納棚を組み込んだ腰壁で領域を仕切り、閉じる必要がある場所には障子や框戸を設けている。また、南面の掃き出し窓に面して障子を設けており、閉じたときには落ち着いた室内環境を楽しめるようにしている。これらの障子は、框と桟の寸法を統一した「吉村障子」の写しである。寝室とリビングの間は、荒組の両面組子として表裏が出来ないようにした。また、南面の掃き出し窓に面したものは壁引き込みにしている。公園上の開放感と障子を閉じたときの静かな安堵感を、自在に選びとれる家になっている。 Credit 設計|Camp Design inc. 藤田雄介・寺澤宏亮 施工|KITI 澤田大悟 写真|長谷川健太
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白と黒の家|White & Black House
築40年を過ぎた団地の1室のリノベーションである。壁式RC造のため間取りの変更は難しく、躯体に仕切られた4つのスペースのなかでいかに⽣活を更新するかを考えた。4つのスペースはそれぞれ、⽔回り・寝室・キッチン・リビングに当てがわれることになり、広さは⼗分でないものもあるが、与えられたスペースの中でそれぞれの諸機能を再構成していった。例えば、⽔回りはサニタリーの広さを確保できなかったため、最⼩限の洗⾯台を設けて⽞関ホールと⼀体の⽔回りにすることになった。キッチンは、1つのスペースを全てキッチンとして利⽤することにして、壁付けのキッチンと⼤きな作業台兼収納台を設けている。なお、冷蔵庫と冷凍庫もここに納められている。寝室は、収納を枕上部にコンパクトに納めている。⼦供がまだ⼩さいため1室としているが、将来的に区切れるようになっている。 このように躯体に仕切られたスペースの広さに応じて、必要諸室のあり⽅を再構成しているが、その⼿掛かりとして、⽇常的な使いやすさよりも、⽣活の要素が少ないことで得られる気持ち良さを優先したいという施主の希望を重視した。そのため現れる要素は施主とのやり取りを通して細かく整えて、お気に⼊りの家具や器や雑貨が引き⽴つ余⽩を⽤意している。またキッチンと廊下の間に⼊れた布框⼾(われわれが考案し⾃社で販売もしている布張り引⼾)には、施主が選んだ⿊いインド綿の⽣地が張られている。この⿊い建具の存在は、われわれが⽤意した⽩い余⽩の空間に緊張感を与えている。⽩い余⽩と⿊い建具の対⽐で出来ている家とも⾔えるだろう。 Credit設計|Camp Design inc.施工|デライトフル
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花畑団地27号棟プロジェクト|Hanahata-danchi No.27 Project
建具が再編する風景 2012年に行われた「団地再生デザインコンペ」において最優秀賞を受賞し、デザイン監修者として携わったプロジェクトである。コンペでの提案を元に、これまでにない団地再生を目指しながらも、都市再生機構による通常の賃貸住宅と同等の品質を保つために、標準設計仕様を遵守する等厳しい条件下で設計が進められた。 今回対象となったのは、東京都足立区にある花畑団地の中にあるボックス型住棟(昭和41年竣工)であるが、その射程は都市再生機構が全国に保有する約76万戸の団地風景を改変することに向けられている。この一棟のための特殊解ではなく、団地というビルディングタイプに汎用可能な設計を提示しようと考えた。そのための手立てとして建具を設計の主対象とし、それ以外の部分は標準設計仕様を編集的に扱い計画している。 具体的に建具をどうしたかというと、まず既存のスチールサッシを木製サッシに取り替えた。さらにスチールサッシを撤去したままの部屋を、既存間取り3Kの一部屋分設けた。ここは半外部の部屋=ルームテラスとなり、テラスでありながら部屋のような、部屋でありながら穿たれたままの開口をもつ半外部という両義的な場所となっている。ルームテラスは各住戸異なる位置に設定され、プランにバリエーションが生まれている。それによって異なる機能の部屋が積層することになり、団地の立面に多様性を与えている。さらに階や方角の違いにより周辺環境に呼応して、それぞれ異なる性格を持つ場所が生まれている。 木製サッシを用いた理由は、これからの団地再生において共有されるマテリアルとなり、鈍色の窓から木の表情を持つ窓になることで団地風景に人間性を与えることを目指しているからである。今回用いた木製サッシは、新潟県加茂市の地場の建具屋が集まって開発したもので、耐風圧・耐水性・高断熱性等の基準をクリアした高性能な製品でありながらも、工芸的な佇まいをもつサッシである。これをアルミサッシの代わりに入れることで、団地という工業的な存在を人の手に引き寄せ、人間のための団地として現在的な価値を持つ事が出来るのではないだろうか。団地の大量供給と共に普及したアルミサッシに代わり、断熱性によりエネルギー効率を高める木製サッシを団地再生に用いることは、コストやメンテナンスなどの課題はあるが、今後より普及し 生産構造に一石を投じることができるのではないだろうかと考えている。 部分を設計の主対象として、団地が半世紀を経て育んできた素晴らしい環境を最大化し、関係性が織り込まれた風景をつくることを目指している。 Credit デザイン監修|藤田雄介 / Camp Design inc. 実施設計|山設計工房 施工|江州建設 所在地 東京都足立区 Award グッドデザイン賞 住まいの環境デザインアワード 優秀 Design for Asia Award / Bronze Award 団地再生デザインコンペ 最優秀賞 Media新建築 2014年8月号 >>BRUTUS No.807 「約束建築」>>JA86 「新世代建築家からの提起」>>10+1 特集「風景としての団地」論考 >>
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傘と囲い|Umbrella & Enclosure
軽量鉄骨プレハブ住宅の改修である。元々クライアント家族が住んでた家だったが、しばらく空き家になっていたものを、今はバラバラな場所で住んでいる母・息子や娘とその家族が、父の墓参りの際に訪れてみんなで集まれる場所に生まれ変わらせたいという要望から始まった。 軽量鉄骨プレハブ住宅の改修は、法規上・構造上の問題から非常に難しい状況にある。やるとすれば、既存外壁やサッシに手をつけないリフォーム程度の改修か、メーカー自身による高額な費用がかかる改修であれば可能だが、どちらも今回の予算や要望にそぐわないものだった。またクライアント家族が、大量生産の工業化住宅であるこの家にも愛着を持ち、なんとか活かすことを求めていた。家という場所に育まれる記憶や想いの力強さを思い知らされ、それに応えたいと考え建て替えではなく改修することにこだわった。 計画にあたり、既存躯体は劣化が激しい場所が多く、耐震性能を向上させたいという要望もあり、新たな構造を加えていくことを考えた。また敷地は東南面は角地で、北西側は隣地の住宅が迫っているが、コンテクストとは関係のないような窓の配置であった。そのため、開口部の開け方も更新するべきだと考えた。まず外壁はそのままの状態で、既存基礎の外周部に増築扱いで抱き基礎を行い、そこから木造の耐震補強となる壁を建てた。この壁は、既存の2階床と屋根下の大梁に緊結し一体化させている。その後で、錆びが回っている既存外壁を撤去し、結果的に耐震補強壁が新たな外壁の役割を担うことになった。外壁の更新を通常のスキームで行うと主要構造部の大規模修繕にかかったしまうため、行政に相談した上でこのようなスキームで進めることで、確認申請不要な内容での改修方法を見出した。 耐震補強壁は、スパイラル状に巡る帯壁が水平力を補強し、開口部並びの壁が鉛直荷重を足している。後者は木造における壁量計算と同じで、一定距離取れていれば入れる所はどこにでもいい仕組みになっている。そのため、開口部をコンテクストに応答させて開けることが可能になった。 そうして改修した住宅の内部は、外壁分広くなったことと、亜鉛メッキの鉄骨小屋組を表しにしたことで気積が増え、大らかで広がりのある空間が生まれた。また開けた角地側に開口部をあけたことで、外部への水平的な広がりも得ることができた。既存の軽量鉄骨と新たな木造壁を、それぞれ「傘」と「囲い」という建築の原初的なモチーフに還元して等価に扱うことで、改修が困難な存在であるプレハブ住宅だが、改修プロセス次第で活かしていける可能性があることを提示している。 Credit設計|藤田雄介・辻佳菜子 / Camp Design inc. 構造|金田泰裕 / yasuhirokaneda STRUCTURE施工|栗田工務店写真|長谷川健太 Award日本建築学会作品選集2022 Media日本建築学会作品選集2022建築士 2022年1月号
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柱の間の家|House between pillars
このプロジェクトは、リビタによる「HOWS Renovation」シリーズの一つである。この事業は、空き家を社会資産と捉えリノベーションによって、改めて市場での価値を持たせることを目的とした事業である。空き家をリビタが買取り、改修した後に販売するため、施主がいない状況から設計がスタートする。そのため、3~40代の子供がいる家族を想定し、汎用的・可変的な住宅を考えた。 日本の伝統的な木造軸組工法は、柱の間隔が1間=約1820mmのモジュールで構成されている。そのため、柱間もそれに従った寸法になる。私たちは、ほとんどの柱間に建具を設置できるようにして、モジュールに合わせた建具により、施主自身が簡単に交換可能な境界を作った。そして、1,2階共に中心を縦断する「柱の間」というスペースを設けた。「柱の間」は、建具の移動によりプランを変える際の中間領域となり、より多くのパターンが生まれる。また、可動家具もモジュールに合わせて設計し、建具と共に設える要素となっている。 これは日本の伝統的な木造工法の規格と建具により、ライフスタイルや家族構成の変化に合わせて形を変える、古くて新しい住宅である。 Creditデザイン監修|藤田健介・荒巻菜生子 / Camp Design inc.企画・事業主 リビタ構造|高橋建築工房施工|英建設 Award グッドデザイン賞 Media新建築住宅特集 2017年2月号Casa BRUTUS 2017年6月号Casa BRUTUS 「リノベーション大全」MARK No.68日経アーキテクチュア 2017年9月28日号 This project is one of the series “HOWS Renovation” of Ribita (a Japanese developer mainly focusing on renovation project). This project is a project aimed at renewing the market value by renovation taking vacant houses as social…
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AKO HAT
本計画は1970年代後半に建てられた、ほぼ断熱性のない鉄筋コンクリート造・打ち放しの住宅の改修である。現代においては過酷とも言える住環境であり、また周辺環境も時間の経過と共に大きく変化して、周囲から硬く閉ざした存在になっていた。 テーマは境界の変容である。境界を指す語として boundaryとborder があるが、前者は2つの領域の関係性を断ち切ってしまう硬く切断的な境界を意味し、後者はお互いの領域がやわらかく曖昧に溶け合うような境界を意味している。RC造打ち放しのboundaryな境界に対して、我々はborder hat と呼ぶ新たな外皮を被せることで、既存外壁の周囲に動的な境界空間をつくりだした。 この建築が建っているのは工業団地の跡地で、周囲には疎らに住宅の建っているくらいの場所だった。それが約40年を経て、北側に市民ホールと隣接した緑道、西側には公園が出来て、5人家族で暮らしていた頃に南面に建てた離れは解体し、庭は明るさを取り戻した。各方角それぞれに異なる形状の庇をもったborder hatを被せることで、周辺に対してそれぞれの面で応答する構え直しを行った。 各面で異なる形状の庇は、それぞれ片流れ・ボールト・切妻となっており、軒下は勾配の変化が動線としての抑揚を生み出している。GLから少し上げた土間とともに、敷地外周部の風景を取り込んだシークエンスのある軒下空間となっている。以前は敷地内を分断していた袖壁などを撤去し、外構の回遊性と周辺環境との連続性をつくりだしている。 border hatは敷地をこえて地域の気候環境との関係性ももたらしている。具体的には、サンルーム内の軒天に設けたガラリが、躯体とborder hatの間の50ミリ厚の通気層を通して2階の厚みのある窓に繋がっており、互いの建具の開閉を通じて空気の流れや熱の動きをコントロールしている。季節に応じた建具の扱い方によって、空気と熱の動かし方を身につけ、現代の高気密高断熱化し機械制御した快適性とは異なる、地域性と身体性を伴いながら温熱環境を自らの手でコントロールする住まい方を提示している。 境界が1つの空間として人の動きや風・光・熱などの環境因子といった様々な要素が、動き交錯し介在し現象を呼び込む場所となることで、硬く閉ざした境界面を柔らかく動的なインタースペースとしての境界へと変換した。そのような境界の在り方は、切断的な境界が増殖している現代における、建築的な解法の一つではないかと考えている。 Credit 設計|藤田雄介・尾崎琢弥 / Camp Design inc. 構造|金田泰裕 / yasuhirokaneda STRUCTURE 環境シミュレーション|谷口景一郎 / スタジオ・ノラ 施工|アトリエエイト 写真|長谷川健太 This project is a renovation of a reinforced concrete structure that was built in the late 1970s and has almost no heat insulation. It is a living…
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東松山の住宅|House in Higashi-Matsuyama
前の住人により2戸1化されていた、鉄筋コンクリート造マンションの1室の改修である。繋げられていた2戸のうち、角部屋の方を主室と水回りなど、もう一方を寝室と納戸などにあてた。主室は、半屋外的なルームテラス・ランドリーテラスやソファースペースなど、タイプの違う場を外壁沿いに配置し、入れ子状の構成をとっている。これらの間には、透明ガラス・フロストガラス・シナ合板を鏡板にした木製框戸を入れ、各々の場との距離や視線などの調整を行っている。框は見付け30mmで、木製建具としては非常に細いつくりになっている。これは中間層を設けたことによる、主室と外部の距離感を減じるためである。またこの框は、鴨居や欄間の枠とも同じ見付けであり、枠と框が一体的な透明性の高い境界面となる。寝室側は、シナ材によるフラッシュ戸と壁で統一している。主室側とは対照的に不透明な境界だが、開くたびに空間が展開していく奥性をつくりだしている。 建具は仕切るための道具だけでなく、場と場の多様な関係を取り結んだり、日射や温熱や通風などの環境因子を調節する境界面にもなる。制約の多いマンションや団地の改修では、建具の効果が発揮されやすい。そのような、建具の多元的(マルチプル)な境界面としての可能性の一端が立ち現れている。 Credit設計|藤田雄介・辻佳菜子 / Camp Design inc.施工|山崎工務店・アトリエ淳写真|長谷川健太 Media 新建築 2017年8月号 >> BRUTUS 2017年7月15日号 コンフォルト 2024年10月号>> It was a renovation of one condominium, which had been converted to two houses by the former residents. The main room is arranged in a nested configuration by arranging different types of places such as semi-outdoor room terrace laundry terrace and…
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野縁の家|House of Ceiling Edge
再建築不可の土地に建つ戸建て住宅のリノベーションである。既存家屋の形状を維持して、基礎補強から全面的な耐震補強を行い、耐震性能そして環境性能を新築同等まで引き上げている。周辺が建て込んだ場所であることから、特に2階の採光を確保することがポイントとなった。かろうじて西側は駐車場で開けていることからハイサイドライトを設けて、さらにトップライトを入れて上部から光を取り込んでいる。しかし、それだけでは局所的な明るさを得るだけになるので、天井面に半透明ポリカーボネート板を用いた光天井にして、部屋全体に光が行き渡るようにしている。光天井は、野縁組の構成を組み替えてつくっている。野縁受けの下に野縁を流して天井材を貼る一般的な構成に対して、野縁受けと野縁の間に天井材を挟んでいる。また2階を中央で仕切る木製ガラス戸は、野縁材と同等の細い材で組んだ框戸にしている。これは我々が以前設計した「東松山の住宅」で製作し、自社運営の建具メーカー〈戸戸〉で製品化している「木枠建具」という、見付けがわずか30mmの木製ガラス戸である。これをさらに華奢にして野縁材に近い寸法にしている。この極限まで細い框戸と、野縁組を再構成した光天井によって、光に満たされる家へと生まれ変わった。 Credit 設計|Camp Design inc. 藤田雄介・伊藤茉莉子・安斎幸太郎 構造|円酒構造設計 / 円酒昇 施工|水雅 写真|長谷川健太 Media リノベーションジャーナル VOL.18 architecturephoto.net This is a renovation of a detached house on a lot that cannot be rebuilt. While maintaining the shape of the existing house, we reinforced the foundation and all aspects of the house to raise its seismic and environmental performance…
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常陸太田の町家|Row House in Hitachi-ota
茨城県常陸太田市に計画した、木造平屋建ての店舗併用住宅である。建主は元々都内に住んでいたが、仕事の関係で数年前にこのエリアに移住した。この地の空気や食を気に入り、家を建てることを決意した。そして、ここに家を建てるのであれば、専用住居ではなく地域との接点を持てる生業の場を設けることを望んでいた。ただし、設計時点では何の店にするか決めておらず、流動的に中身が入れ替わる場を考えていた。店舗部分は道に面して設け、住居部分は半屋外の通り土間を挟んで設けている。ただし、通り土間上部で店と住居は繋がっており、店の音や空気は住居に流れ込んでくる構成となっている。この建築では、このような「離れつつ繋がっている」状態を、いくつかの操作によってつくりだしている。 屋根は、軒の出が徐々に深くなる雁行した形になっている。これは細長い敷地形状に対して、店から住居におけるプライバシーの必要度に合わせて、軒の出を操作した形である。奥の寝室に向かうにつれて軒の出は深くなり、最も出ているところで1600mm程度となっている。隣地の塀と合わさり、プライバシーを保つ閾となっている。長手方向においては、町〜店〜通り土間〜住居が連続している。住居の奥はサンルームだが、プライベートなネイルサロンとしても使用することになった。その先にはひらけた庭があり、街並みを挟んで瑞龍山という水戸徳川家代々の墓所となっている山がある。町から店や住居を介して、史跡までの連続性を、この屋根は導き出している。 隣地とは心理的な距離を取り、町や店や史跡と繋がる。距離を取る対象と、繋がる対象を選びとることが、この住宅には必要だと考えた。本計画はCovid-19が蔓延する前から計画してきたものであるが、奇しくも住宅において重要な距離の問題に触れた建築となっている。 Credit 設計|藤田雄介+伊藤茉莉子 / Camp Design inc. 構造|大川誠治 / soso 施工|小薗建設 写真|長谷川健太 Media 別冊太陽 【小さな平屋に暮らす】 architecturephoto.net It is a wooden one-story store-combined house planned in Hitachiota City, Ibaraki Prefecture. The owner originally lived in Tokyo, but moved to this area a few years ago due to work. He liked the atmosphere and food…
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羽根木の住宅|House in Hanegi
生産の生態系から生成される建築 この住宅は2×4住宅の改修であり、リビタのHOWS Renovationシリーズのものである。2×4は在来構法と比べると、改修する上での自由度が少ない。既存は1階が田の字型に分けるように耐力壁が入り、2階は中央の壁と梁で広々とした空間をつくっていた。共に間取りの大きな更新は難しいことから、主な設計対象を羽根木の街との連続性とそのあわいの境界である外皮に求めていった。 羽根木は環状7号線から1本入った場所だが、閑静な住宅街であり緑も少なくない。あるエリアは昔からの森を出来るだけ残し、職住近接の有名建築家による集合住宅が集まっている。そのため、1階には内土間のある部屋を設け、外土間のあるテラスから直接アプローチできるようにし、小商いや仕事場での使用がしやすいスペースになっている。また外壁色は周辺の外壁を色見本でサンプリングし、多く採取された色を一段階濃くしたものにして、街並みに参加する佇まいにしている。 外皮においては、基本的な性能である構造、断熱、採光通風に加え、現象的な効果を壁に付与させることを試みた。そこで壁と同じ天井高いっぱいの布を張った建具を用い、電線が間近にあるなどノイズの多い周辺の風景に帳をかけて、布を通して窓からの光が行灯のように灯る、閉じつつも柔らかい光に満たされた静謐さを獲得した。この建具を布襖と呼んでいるが、元は布框戸という布を張り替えられる建具を改良したものである。それに興味を持った友人の建築家から、同じくリビタとの仕事である〈鷺宮の家〉(設計:能作淳平)で、開口部の断熱障子として框戸に見えない布張り建具の依頼があった。このときは、既存アルミサッシを利用することから断熱性を向上させる意味合いが強かった。今回は、2×4住宅であることを意識して、開口部にフィットさせるのではなく壁の一部としての建具とした。 布を張ることにこだわったのは、素材感を建材に寄せず柔らかい質感を求めたためである。この他、先述の布框戸・布屏風・木のドアノブやレバーハンドルやつまみなど、建具は全て我々が生産しているものを用いている。これにより、住宅全体としての質感に変化をもたらしている。 建築を設計することとは、市場にある部材を選び組み合わせることに他ならない。だが、現代では部材の数は無数にあるように見えるが、実際に選び取れるものの選択肢は決して多くない。その状況の中で、設計側が生産の渦に自ら携わったエレメントを投げ込んでいくことで、建築の質感を変えることが可能ではないだろうか。 そのような意図から我々は「戸戸」を通して、建具という境界に関わるエレメントを対象に、独自の現象性や感触をもたらす部材を流通している。その中で布襖のように、思いもよらずユーザーや設計者のアイデア・製作する職人の技術などが、部材の新たな使い方や展開を見出してくれることがある。アップグレードするだけでなく次なる部材が生みだされ、その連鎖は生態系のように根を広げていく。このような生態系を建築家それぞれが育むことができれば、大量生産品によるものとは異なる質感を持った建築を生成していくことができるのではないだろうか。 Credit 設計|藤田雄介 / Camp Design inc. 企画|リビタ 構造|横尾真 / OUVI 建具|坪原木工 施工|青木工務店 写真|長谷川健太
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芦花公園の住宅|House in Roka-koen
柱と梁の間に、建具や壁が嵌められた形式を柱間装置と呼ぶ。柱梁のフレームの間に、障子や襖、御簾(みす)や蔀戸(しとみど)など多種多様な建具をあてがうことで、周辺環境や部屋同士の関係性を調整する。日本建築の特質である外部環境との連続性や空間の可変性は、柱間装置によって生み出されてきたとも言える。注目したいのは、近代以降、木造ではなくRC造の団地等のインテリアにおいても柱間装置が採用されてきたことだ。形骸化されながらもインテリアに用いられてきたのは、柱間装置がうみだす場所性が日本人にとって拠り所となってきたからだろう。そうしたことから、柱間装置は団地における重要な形式と読み取ることができる。この建物は、築44年の分譲化された団地である。約50㎡・3DKの間取りの住戸で、一般的な団地同様に柱間装置による襖や壁で仕切られていた。しかしプランニングの問題からか、柱間装置を用いた日本建築がつくりだす連続性や可変性は感じられない状態だった。これは既存の形式がうまく機能していないためであり、それをただ切り捨てて新たな形式を用いるのではなく、あるエレメントの導入によって現在的なものに更新できるのではないか。それによって、素材は一新されながらも懐かしさや記憶を受け継いだ、あったかもしれない風景を顕在化できるのではないかと考えた。新たに導入するエレメントとして、布框戸(ぬのかまちど)という建具を製作した。これは障子のような透過性と襖のような軽やかさを併せ持っている、障子と襖の間の閾となる建具である。框の間に好きな布を張ったり、寒冷紗を張り網戸にしたり、自らカスタマイズできる仕様になっている。既製の障子や襖の枠は、溝7分(21mm)・溝同士の間は3~5分(9~15mm)と規格化されている。この規格に合わせてを製作し、さらに製品化することになっている。団地に柱間装置が採用されている慣習を活かして、布框戸が様々な団地改修で汎用されるツールとなり、団地というビルディングタイプを更新するエレメントの一つになることを目指している。 Credit 設計|Camp Design inc./ 藤田雄介 施工|河行工務店 写真|長谷川健太 Media &Premium 2019年3月号 >> 新建築住宅特集 2015年2月号 >> BRUTUS No.807 「約束建築。」>> 日経アーキテクチュア 2015年12月10日号 >> cowcamo magazine >> LEE 2017年11月号
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太子堂の住宅|House in Taishido
鉄骨造3階建ての、2・3階を2世帯住宅に改修した3階部分の計画である。元々、この階には子供部屋3室と和室などがあり、廊下や部屋同士のつながりから回遊性のある間取りだった。施主は小さな子供2人のいる4人家族だが、近所に住む兄弟家族も含めると15人程の大家族で、住宅でありながら保育園のように子供達が大勢あつまる環境だった。そんな住み方に感銘を受け、新たな住まいでも子供達が駆け回り、家族にも街にも開け放たれた場所にしようと考えた。 構成としては、外壁沿いを動線にして回遊性をつくり、内側にレベル差をつけた場を設け、上部にはスチールの鴨居が張り巡らせている。これは建具を入れるだけでなく、布や植物を吊るしたり、小上がり上の微かな囲いとなるなど、仕切り方の手掛かりを用意している。この他、製作した建具や引手、戸戸で販売している木のつまみを用いて、手触りのある境界の設計を行っている。 Credit 設計|藤田雄介・小森陽子 / Camp Design inc. 施工|Cuestudio 写真|長谷川健太 Media 新建築 2017年8月号 LiVES Vol.97
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杉並の家|House in Suginami
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山手の住宅|House in Yamate
マンションや団地などの改修を考える場合、躯体は絶対的な存在として新たに描くプランを規定していく。躯体に沿わせて設計すれば、収納など隠したい要素は収め易くなる一方で、水回りなどの換気は機械換気に頼らざるを得ない配置になる場合が多い。そのことに対する疑問は常々あって、躯体との応答関係を問い直すことで、マンションや団地などの改修設計において仕方なく受け入れられている諸問題を解消できるのではないか。と考えた。 今回改修したのは、メゾネットタイプのマンションの1室で、眼前に山を眺められると同時にバルコニーからは街並みと海辺の景色を眺められる部屋である。山側から海側へと偏西風の吹き抜ける地域のため、風が躯体の中を通り抜け、この地域特有の環境を実感できるプランにすることが重要だと考えた。また、玄関のある上階がキッチン・ダイニングのある主室になり、下階が寝室となる構成は既存の状況から決まっていたが、上下階で異なる世界が並存するような設計を行うため、「通り」と「路地」というメタファーを据えた。 まず、上階は南面の既存サッシを取り払い、木製建具の4枚引きとして最大限の開口幅を取れるものにした。島状のキッチンとダイニングテーブルを中心に、その他の要素は効率よくコンパクトに納めながら、居場所が点在している目抜き通りのような空間としている。 下階では、風呂・サニタリーの水回りを躯体に寄せて配置するのではなく、中央に2つの島として配置している。そうすると、階段を下りてすぐの廊下とは別に、躯体と水回りの間の細いスペースが生まれる。ここは、浴室やサニタリーにも自然換気をもたらす風の通り道であり、将来的に南側の部屋を2つの子供部屋に仕切って使う場合の、補助的な通路にもなる。また島状の水回りの壁面は、各方角ごとに異なる配色を施している。壁の配色によって明暗や空気感の差を与え、行き止まりのない歩き回りたくなる路地のような空間に仕立てている。 躯体との応答関係から問い直すこと、メゾネットであることを活かし上下階で異なる世界を並存させることから、「通り」と「路地」という相反する空間が現れた。そのいずれも、この地域特有の、山から海へ抜ける偏西風と光の抜けを持ち、躯体という絶対的な存在により周辺環境と断ち切られていない場所を生み出している。 Credit設計|藤田雄介 / Camp Design inc.施工|伊田工務店写真|長谷川健太 When considering the renovation of a reinforced concrete apartment or housing complex, the building will prescribe a new plan to draw as an absolute existence. When designed to fit the skeleton, it is easy to store elements that you want to hide, such as storage,…
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井桁の間|house between curb
木造3階建て住宅が建てられる条件は、敷地は違えど共通している部分が多い。防火指定・高度斜線などの集団規定や相続の問題から、細分化された狭小ないしは旗竿敷地に、内外ともに窮屈ながら建てられているケースが大勢である。そうして、場所は違えど似たような建ち方をしながら、郊外住宅地に均質な風景をつくりだしている。 この住宅は、木造3階建てが生まれるコンテクストを分析し抽象化しながら、新たなプロトタイプを目指したものである。まず燃え代設計を用いて現しにした井桁梁により、大きなワンルームをつくり室内の気積を充実させている。桁間には、吹き抜けやトップライトや光床を設けており、鰻の寝床のような内部に通風・採光を取り込んでいる。そして井桁梁は、そのほとんどが建具の鴨居になっている。同モジュールの建具を入れ替えることができ、生活や家族構成の変化などに合わせて、構成を変えることができるようになっている。この可変的な建具は、部屋として仕切るだけでなく収納や小部屋もつくることが可能で、絶えず変化する住まい方に寄り添う家具的な存在にもなる。 木造3階建てに孕む諸問題に対して、井桁梁とモジュール化した建具という2つの手法を用いることで、光と風が抜けフレキシビリティを持ったものへ変換し、プロトタイプとして汎用性を持った住宅になるのではないかと考えている。 Credit 設計|藤田雄介 / Camp Design inc.+須藤剛建築設計事務所 構造|金田泰裕 / yasuhirokaneda STRUCTURE 施工|Cuestudio バレッグス 写真|長谷川健太 Award Design for Asia Award, Merit Award Media 建築知識 2019年2月号
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恵那の軒並|Row of House in ena
増改築を繰り返してきた200㎡程の木造住宅を、2世帯住宅へ改修した計画である。既存建物は最も古い部分で築70年程、その後4回程増築されてきたことが読み取れた。そのため基礎や構造は年代ごとにバラバラであり、仕上げも同様であった。また親世帯と子世帯それぞれのインテリアの趣向もバラバラであったため、全体の統一感をつくり出すことは諦めつつ、それでも一つの住宅に繋ぎとめる要素として軒・天井を設定した。 外観では、既存瓦・ガルバリウム鋼板・FRPの3つの屋根仕上げが混在し、バラバラな屋根たちを統合するものとして、建物を囲うように軒が回っている。また、一部屋根を欠き取り中庭を設けたり、雨仕舞いのために入母屋を切り妻に変更するなどブリコラージュをしている。少し勾配のある敷地に沿うように、建物のレベルと同時に軒のレベルも段々と変化している。これらの操作により、一つの住宅でありながらどこか集落のような佇まいを持った建築に更新されている。内部は、屋根形状に沿った天井をつくり、気積の変化に富んだ空間の連なりが生まれている。また天井は時間の界面として、屋根裏に隠れてた梁を所々で表し、現在と過去が交錯する部分となっている。 既存の要素を外部では軒、内部では天井が、それぞれに関わるバラバラな要素を統合し、雑多さを受け止める存在となっている。このような、全体性を追い求めるのではなく雑多さを許容するおおらかな建築は、リノベーションだからこそ生み出し得る建築の形式ではないかと考えている。 Credit 設計|藤田雄介・荒巻菜生子 / Camp Design inc. 構造|金田泰裕 / yasuhirokaneda STRUCTURE 施工|足立住建 写真|長谷川健太 Media BRUTUS 2017年7月15日号
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袖壁の家|Wing Wall House
若い夫婦が暮らすマンションの1室のリノベーションである。 既存は50㎡程度の東西に細長い特徴的な間取りで、遠くには富士山まで眺められる眺望のいい部屋である。 風の抜けも申し分なく、この部屋を取り巻く環境を存分に取り入れることを考えた。 また施主は身の回りのあらゆるものをDIYする方で、この部屋の完成後も棚や家具までつくることが前提にあった。 そこで我々は、手が加えられモノや家具が溢れていっても、全体が混在しないための秩序を袖壁によって設定しようと考えた。 さらに袖壁は、場をゆるやかに分節しながら、隠れ蓑となる居場所をつくりだす。 それにより細長いワンルームでありながら、さまざまな領域が関係をもち、奥行きのある全体性を生み出している。 既存では部屋をつくっていた壁を袖壁に変換するだけで、コンテクストや施主の特徴を一度に射抜いた住環境に再構築することを考えた。 設計|藤田雄介 / Camp Design inc.+スマサガ不動産 プロデュース|スマサガ不動産 施工|河行工務店 写真|川村麻純
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5つの路地|Five Alleys
Credit 設計|Camp Design inc. オーナー棟 藤田雄介・安斎幸太郎 賃貸棟 伊藤茉莉子・安斎幸太郎 施工|セイワ 構造|金田泰裕 / yasuhirokaneda STRUCTURE 写真|長谷川健太
